【8月のコラム】患者さんの「心の状態」を図るフェイススケール
私が訪問診療の世界に足を踏み入れてから、医療に対する考え方は大きく変わりました。
命を守るだけでなく、「幸せな生活」を支える医療
病院医療では「救命」や「延命」が最優先されます。しかし、在宅医療に足を踏み入れてからは、「命を支えるのと同じくらい、あるいはそれ以上に、幸せな生活を送れることが大切ではないか」と強く感じるようになりました。多くの健康問題を抱えていても、住み慣れたご自宅で、その人らしい日常を送り、笑顔で過ごすことこそが、患者さんとご家族にとっての本当の「幸せ」だと確信しています。これが在宅医療における私の使命です。
「心のバイタルサイン」:フェイススケールで「笑顔」を育む

患者さんの「幸せ」やQOL(生活の質)は、外見からは分かりにくいものです。そこで私は、患者さんの「今の気分」や「心の状態」を深く理解するため、2025年6月から「フェイススケール」を用いた評価を導入しました。ニコニコ顔(0)から泣き顔(5)までの絵を見せ、「今の気分はどれですか?」と尋ねます。これは、日々のバイタルサインをチェックするように、患者さんの「心のバイタルサイン」を測る試みです。予想とは異なる評価に、患者さんの真の気持ちに寄り添うヒントを得ることも少なくありません。この問いかけは、「あなたのことを大切に思っていますよ」というメッセージとなり、患者さんのご希望を引き出し、ケアに役立てる大切な対話のきっかけになっています。
「おうちで笑顔」の実現に向けて
私たち「おうちで笑顔クリニック」は、その名の通り、患者さんが「おうちで笑顔」になることを目指しています。患者さんの「笑顔」は、私たちの最大の喜びです。これからも、皆様の「安心」と「幸せな生活」のために、日々の診療に真摯に向き合い、地域全体の医療・介護・生活支援を担う皆様との連携を深め、皆様の生活に寄り添い続けてまいります。 (岡田 定)
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