2025年9月19日 地域連携月例情報交換会のご案内(第4回おうちで笑顔セミナー【認知症との付き合い方】【在宅医療は命より幸せ】)

10月 5, 2025

セミナー動画

全体要約

本セミナーは、顔が見える地域医療・介護連携を目指す第4回情報交換セミナーとして開催しました。
第1部は認知症との付き合い方、第2部は「在宅医療は命より幸せ」のテーマで、認知症予防や病気のコントロール、本人の幸せを重視した在宅医療の実例、ケア方法(ユマニチュード等)、連携の要点、生活モデル医療への移行について議論、患者の希望・生きがい・人間関係等“幸せ”を重視した支援の重要性や、多職種協働の実践が共有されました。

医師が患者さんのご自宅に滞在できる時間は限られており、日々の生活のあらゆる側面を直接把握し、ケアすることは困難です。
だからこそ、私たちは医師にできることの限界を理解し、その限界を超えるために、地域で在宅生活を支える多様な事業所様との連携が不可欠だと考えています。医師は医療の専門家として、そして他の専門職はそれぞれの領域のプロフェッショナルとして、互いに協力し、情報を密に交換し合うことで、患者さんの「おうちで笑顔が見たい」という願いを、より確かなものにできると信じています。

第4回 おうちで笑顔セミナー

おうちで笑顔セミナーの内容概要

第4回 地域連携情報交換会(医療・介護連携セミナー)

日時 :2025/09/19 19:00~

司会・事務長 和泉逸平

【講師】

  • 酒谷薫(おうちで笑顔クリニック理事長・東京大学高齢社会総合研究機構)
  • 岡田先生(おうちで笑顔クリニック訪問医師・元聖路加病院血液内科)

全体要約

本セミナーは、顔が見える地域医療・介護連携を目指す第4回情報交換セミナーとして開催された。第1部は認知症との付き合い方、第2部は「在宅医療は命より幸せ」のテーマで、認知症予防や病気のコントロール、本人の幸せを重視した在宅医療の実例、ケア方法(ユマニチュード等)、連携の要点、生活モデル医療への移行について議論、患者の希望・生きがい・人間関係等“幸せ”を重視した支援の重要性や、多職種協働の実践が共有された。

主な議題・トピック

1. 会議冒頭・趣旨説明

  • 和泉事務長より顔が見える地域医療・介護連携推進の主旨紹介。
  • 月1回開催、今回が第4回。多職種交流、地域包括的な情報交換の場。

2. 認知症との付き合い方(第1部:酒谷薫先生)

  • 認知症発症・進行は脳だけでなく生活習慣病(高血圧・糖尿病・高脂血症)など全身的な疾患が影響する。
  • 予防や進行抑制のためには食事・運動・交流など生活習慣や社会的活動が重要。
  • フレイル(虚弱)や貧血も認知症リスクに繋がるため65歳以上は痩せすぎ注意、小太りが望ましい場合も。
  • AI解析による認知症リスク判定・個別指導の今後の展開。
  • 帯状疱疹ワクチン接種により認知症発症が2割減少というデータも紹介。
  • “認知症は全身疾患”であり、予防も治療も広い視点・希望を持たせる支援が必要。
  • BPSD(行動心理症状、徘徊・幻覚等)は症状としてだけでなくコミュニケーションとして捉え、環境調整や接し方で改善する可能性がある。
  • ヒュマニチュード(人間尊重のケア技法)の有効性、具体的な方法(見る・話す・触れる・立つ)を共有。
  • 認知症患者の「怒りっぽい」は通念であり、環境や関わり方の調整で穏やかに生活できる実例も提示。

3. 在宅医療は命より幸せ(第2部:岡田先生)

  • 「命より幸せ」をテーマに、医療モデルから生活モデルへの転換を解説。
  • 在宅医療実践で様々な事例(独居高齢者の幸せ維持、最善の生活支援、症状コントロール、痛み・食欲・睡眠への配慮)を紹介。
  • 医療だけでなく、QOL(Quality of Life)、本人の幸せ=命+健康+生きがい+人間関係を重視。
  • 高齢者の死因の変化(がん→老衰/自然死)、死のイメージ変化(恐ろしさ→自然なもの)。
  • 患者の希望(ピンピンコロリ、苦しまず最期まで現地生活)を尊重。
  • 医療・介護は治すより「支える」へ。予防医療の重要性、生活習慣(食事・運動・睡眠等)が健康長寿の根幹。
  • 多職種連携(医師、看護師、薬剤師、ケアマネ、介護職等)、地域包括ケア体制が日本の特色・重点課題と位置づけ。
  • 患者・生活者中心、共感・人間関係を基盤とした支援のあり方、生活環境や家族関係から生きがい・希望を見出す工夫の重要性。
  • 検査・薬物治療は副作用・ポリファーマシー等に注意しながら適切に活用。

4. 質疑応答・意見交換

  • 「希望がなく、医療・ケアを拒否する患者への関わり方は?」という質問で、生きがいや過去の経験・コミュニケーションから本人の思いや楽しみを見出す重要性が議論。
  • 「看護や他職種連携のスタンス」について、患者の「身になって共感する力」が最重要であり、チームでフォローする実践例も共有。
  • 「生きがい発見の会話・接し方」について、生活環境の観察(写真・家族・趣味含む)、感覚的・直観的に接することの有効性が確認された。

5. 今後の予定・連絡

  • 月例第2月曜に5階会議室にて開催予定。来月は感染症、今後は保険・お金・お墓・口腔連携等をテーマにする予定。
  • セミナー後は名刺交換・参加者同士の交流タイムを設定。
  • 地域に根差した顔の見える連携、継続的な情報交換を推進していく方針。

まとめ

  • 認知症や高齢者の在宅医療においては、最新医薬や臓器別医療のみならず、生活習慣・全身的な予防、多職種協働、本人の希望・生きがい・人間性尊重が重要。
  • 各職種が協力し、患者の幸せを支える包括的支援のあるべき姿が共有された。
  • 参加者は、コミュニケーションや連携・協力の重要性を再認識した。